今回は2018年10月3日(水)発売のMr.Children/ミスチル「重力と呼吸」をレビューしていきます。
収録曲にタイアップ曲も多くどこかで聞いたことあったと思った方も多いと思います。
豪華なアルバムとなっています。
桜井和寿(Vo,G)はこの「重力と呼吸」について「最高のアルバムと圧倒的な音」とコメントしています。たしかに文字通り、いままでのMr.Childrenにはなかった「圧倒的な音」でしたね。桜井本人も「その通りになっていると思います」と自信をもったコメントを出しています。
彼らが打ち出したメッセージは以下に。
・後輩ミュージシャンがMr.Childrenを目標としないようなアルバム
・いままでにないMr.Childrenの圧倒的に新しい音楽性(圧倒的な音)
個人の解釈ですが、「後輩へのメッセージ」「新しい音楽性」のこの2つのメッセージから解釈できるのは、
・Mr.Chlidrenのこれまでの後輩に与えてきた「今まで通りのMr.Chlidrenらしさ」
・Mr.ChildrenがこれからのMr.Chlidrenに課した「新しいMr.Chlidrenを作る」
ということなのかなと思います。過去のバンド像と未来のバンド像を切り離す、つまり、Mr.Childrenの転換期ともいえるアルバムです。メジャーなバンドで妥協せずに「変化」を求めることができる点は、とても向上心にあふれていて、めっちゃかっこいいです。
それでは聴いていきましょう。
1曲目「Your Song」
ラブソングです。
冒頭のシャウトがこのアルバムを盛り上げます。
「失い難い宝物」というフレーズと「君じゃなきゃ」というリフレインに純真さを感じます。
2曲目「海にて、心は裸になりたがる」
テンポのいいロックですが、歌詞や曲調の裏にMr.Childrenの挑戦的な姿勢が垣間見えます。「攻めていて若い」「LIVEで盛りあがりそう」といった印象がそれを裏付けます。
「消極的なあなたにも 上から目線のあなたにも ほら世界は確かにつながっているよ」
といった歌詞には抱擁力があり、聞いていて落ち着きます。
3曲目「SINGLES」
曲全体の疾走感がたまりません。
そのテンポの良さからのこの歌詞です。
「どんな音楽も 痛快と話題の映画も 君の笑顔には敵わないってわかった」
どんなエンターテイメントよりも、あなたの笑顔が至福という言葉を素直に表現できるって逆に清々しくてかっこいいですよね。
4曲目「here comes my love」
壮大です。
ミスチル35枚目のシングル「足音 〜Be Strong」のような曲の盛り上げ方ですね。
「夢見た未来を波がさらったとしても この海原を僕は歩んでいこう」
この歌詞の、波に負けじと歩んでいこうという姿勢が頼もしく見えます。
ショートフィルムも考察を楽しみながら聞くと心にしみてきます。
5曲目「箱庭」
失恋ソングです。明るい曲調で歌詞が残酷というギャップも魅力です。
ベースが激しい演奏をしているのでお聴き逃しのないように。
個人的にUNISON SQUARE GARDENがすきなので箱庭って聞くと反応してしまいます。
6曲目「addiction」
addiction(依存)に抗うか、染まってしまうかその葛藤を味わいながら聴くとこの曲のうまみがわかるかもしれません。こちらもベースが心地よい一曲です。
7曲目「day by day(愛犬クルの物語)」
「愛犬クル」を通してとある夫婦の姿を描いた一曲です。
ポップな曲調で、歌詞がどんどん不穏な雰囲気になっていく移り変わりを楽しめます。
8曲目「秋がくれた切符」
ウォーキングをするときに聴きたい一曲です。
歌詞から絶え間なく秋の情景を思い浮かばせるバラードです。
9曲目「himawari」
これぞミスチルの転換期というような歌詞です。
「諦めること 妥協すること 誰かに合わせて生きること 考えている風でいて」
10曲目「皮膚呼吸」
「圧倒的な音」というキーワードを思い出してください。
「昔の僕を恨めしく懐かしくも思う」「僕にしか出せない特別な音がある」
という歌詞からは、昔の自分を意識しつつも、自分なりの音楽を創り上げていくというMr.Childrenの姿勢が垣間見えます。これぞ転換期といった感じですね。
歌詞の「特別な音」が桜井のコメントの「圧倒的な音」とかかっているとすれば、この「皮膚呼吸」はまさしくMr.Childrenの門出を表す一曲でした。
今回のアルバムで、Mr.Childrenの転換期を感じていただけたでしょうか。
ライブは来年2月までに全国12会場講演で、例年よりも少なめです。
当選確率が低くなると予想できますが、こればかり神頼みですね。